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セルジオ・メンデス東京公演を観る。[ソフト]

ボサノヴァを語る上で、欠かせない人がたくさん存在する。
ボサノヴァオリジナルと言える、アントニオ・カルロス・ジョビン、
「イパネマの娘」

ジョアン・シルベルト、ヴィニシウス・ヂ・モライス。
「Ela E Carioca: 彼女はカリオカ」
そして、セルジオ・メンデス、カエターノ・ヴェローゾ、ミルトン・ナシメント、
アストラッド・ジルベルト、ナラ・レオン、エリス・レジーナ、
バーデン・パウエル、ジョアン・ドナート、マルコス・ヴァーリ、、、、、

セルジオ・メンデスの功績は、彼がアメリカでボサノヴァをヒットさせたことにある。
ブラジル’66とのアルバムは、1~4作ともミリオンセラーを記録し、
ボサノヴァというブラジル発の音楽を、アメリカ産ポップミュージックとして
確立させたことこそが、彼の歴史上の功績と言える。
それまでのアメリカでのボサノヴァは、ジョアン・シルベルトとスタン・ゲッツ
(SAX)、そして、アストラッド・ジルベルト(ヴォーカル)による
奇跡の「イパネマの娘」を含むアルバム「GETZ/GILBERTO」の影響が強かった。
「ゲッツ/ジルベルト 」

アストラッドのヴォーカルは、あまりにも情景的でソフトだが、
やはりジャズ的音楽という認識が強かった。

セルジオ・メンデス&ブラジル’66は、アストラッドの「イパネマの娘」が持つ
サロンミュージック的雰囲気を継承しつつも、さらに“どポップ”路線を推進し、
必殺「マシュ・ケ・ナーダ」で早々に極みに達する。
「マシュ・ケ・ナーダ」

1966年、ボサノヴァはアメリカだけでなく世界中のポップシーンで歓迎される。
しかし、セルジオ・メンデスのすごさは、コンポーザーとしてではない。
「マシュ・ケ・ナーダ」さえ、作者は、ジョルジュ・ベン。

先日の彼のインタビューの言葉を借りれば、彼は“インタプリター”なのである。
ボサノヴァという音楽の“解釈”が、音楽(場所)性と時代性において適格であり、
“表現者”として前衛的であり、お洒落(ハイセンス)であったことこそが、
彼のすごさなのである。
今回のヒップホップとのコラボレーションアルバム、そしてライブを観て
その思いはさらに強くなった。
彼が、優れた“インタプリター”であるからこそ、他のジャンルとのコラボにおいても、
それは、セルジオ・メンデスのボサノヴァになるし、逆に言えば、それ以外のものには決してならない。
ライブは実に楽しかった。
コーラスのお姉ちゃん、ヒップホップのお兄ちゃん、パーカッション軍団もすべて、
セルジオ・メンデスが鍵盤で刻む“実に音数の少ない”魔法の和音とリズムによって、
なぜかセルメンワールドのパーツになっていく。そこには、紛れもなく彼だけに
しか作り出すことができない“セルメン・ボサノヴァ”が存在していた。
不思議に気持ち良かった。

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村田茂                                                               ソニー・マガジンズ代表取締役                                               デジモノステーション発行人                                                
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