この夏は、伊藤若冲(じゃくちゅう)人気がすごいですね。
その理由は、東京上野にある東京国立博物館で、
プライスコレクション「若冲と江戸絵画」展が開催中だからです。
テレビ東京「美の巨人たち」、NHK教育「新日曜日美術館」が特番。
雑誌「BRUTUS」や「和楽」が巻頭特集を組むなどメディアの盛り上げ方もすごい。
2000年に、没後200年ということで、京都国立博物館で展覧会が開催されています。
この時もパンフレットが即完売(僕も買えず)で、潜在人気の高さを証明しましたが、
流石に京都だけの開催ということもあり、これほどではなかった。
さてさて、伊藤若冲ですが、江戸中期(1716~1800)に活躍した画家です。
京都錦小路の青物問屋「桝屋」に生まれ、かなり放蕩、というかふにゃもら。
ほぼ自己流の画風は独特。エキセントリック。時空を超える力を持っています。
その極みが、「鳥獣花木図屏風」。


これ、江戸中期の作品です。
まず、モチーフ(象!)と色彩に圧倒されると思いますが、よ~く見てください。
全面が枡目になっています。縦横約1cm間隔の方眼が敷き詰められています。
江戸中期に、若冲が開発したオリジナル画法「枡目描き」。
まさにモザイク画。デジタルコンテンツで言うなら、ドット絵ですよ。
フランスにスーラの「点描画」が登場するのは、この100年後。

グランド・ジャット島の日曜日の午後
京都錦小路生まれということで、西陣織りの影響を受けたと言われていますが、
真実は誰にもわからない。ただただ驚嘆あるのみ。
若冲収集家のジョー・プライス(今回の展示はプライスのコレクション)の
自宅には、この「鳥獣花木図屏風」の枡をタイルにして作った風呂があるらしい。
確かに銭湯のタイルを彷彿させる。ぜひ、我が家でも作ってみたいものです。
とりあえず、会場売店で、ルービックキューブを買いました。

今回の展覧会は「若冲と江戸絵画」ということで、
ほかの画家の作品もたくさん見ることができます。
注目はやはりエキセントリック系画家。

白象黒牛図屏風/長沢芦雪 唐人物図/伝曽我蕭白
エキセントリック系画家については、
伊藤若冲、長沢芦雪、曽我蕭白、岩佐又兵衛などを指します。
詳しくは、辻惟雄の「奇想の系譜」「奇想の図譜」を読んでみてください。

彼らは確かに変わってます。アバンギャルドっていうか変人でしょう。
が、惹かれるんですよね。時空を超えた奇想に。
若冲は当時の京都では、かの円山応挙に次ぐ人気画家だったという記録が
「平安人物志」に掲載されているので、まあ“変人”ではないでしょうね。
京都相国寺には、名作「動植綵絵」30幅を寄進しています。
相国寺にあったこの「動植綵絵」は、廃仏毀釈の影響を受けた同寺の事情で、
明治22年から、宮内庁三の丸尚蔵館が所蔵しています。
今、「三の丸尚蔵館」の展示会『花鳥―愛でる心、彩る技<若冲を中心に>』で
「動植綵絵」30幅が公開されています。

かえる、おたまじゃくし、とんぼ、貝、ヒトデ……。
9月10日(日)まで 。毎週月曜日・金曜日が休館。
東京国立博物館の「若冲と江戸絵画」展は、8月27日(日)までです。
(常設館にある久隅守景「納涼図屏風」も忘れずに。ほのぼのサマ~)

「若冲と江戸絵画」展は、このあと京都、福岡、名古屋で開催予定。
ちなみに! 静岡県立美術館にはもうひとつの枡目描き
「樹花鳥獣図屏風」が常設されてますよ。
秋には、世田谷美術館開館20周年記念として、
アンリ・ルソー展が開催されます。
いやあ、今年は至福の美術展イヤーですなぁ~。